マグリットアートの本質とは?

山田五郎先生のオトナの教養講座でマグリットの解説がありました。とても興味深かったです。マグリットは1960年代にポップアートカルチャーの中で人気を博しました。ポップアートの先駆けと言っても良いでしょう。ビートルズやスティーブジョブスまで多大な影響を与えた彼のアートの本質は違和感、不気味さ、怖さにあるというのが先生の説明でした。

この絵の題名は「大戦争」です。
マグリットは「作品と題名はそれぞれ独立して存在する」と考えており(山田先生はそれを「作品と題名のコラージュ」と表現しています)、何故この絵の題名が「大戦争」なのかはよく分かりませんが、この絵の不気味さは多くの人が感じるのではないでしょうか。

「山高帽の中年男性」と「リンゴ」という日常的なアイテムの組合せで不思議なアートの世界を構築するマグリットらしい作品です。「山高帽の男」も「リンゴ」もマグリットにとっては「匿名性」の象徴だったのでしょう。

大量生産、大量消費の時代を迎え、人間さえもまるで機械の一部として歯車のように社会に組み込まれていく不気味さを「山高帽の男」という匿名の男性を使って表現しているのかもしれません。

ちなみに、山田先生はこの絵の題名を「兵士が匿名の存在として消費されるようになった現代の戦争を象徴しているのではないか」という見解を述べていました。個人的にはそこまでの深い意味はなく、ランダムに題名を付けただけという気がします。

マグリットは同じアイテムを繰り返し使うことでも知られています。「鳩」や「青空」もその一つです。

この絵の題名は「大家族」です。
空と海と鳩だけで作られる不思議なマグリットの世界は子ども達にも大人気で「おはなし名画をよむまえに」の「マグリットのはてな?」では表紙に使っています。

宙に浮いたリンゴを男性の顔を隠す役割をしていたり、鳩が鏡のように青空を映していたりと、日常的なアイテムが本来と違う機能を果たすことで見ている人に違和感や不気味さを感じさせるところがシュールリアリズムなのでしょう。

マグリットが好んだアイテムの中でその後の世の中に最も大きな影響を与えたのが「リンゴ(アップル)」で、ビートルズの「アップル・レコード」やスティーブジョブスの「アップル社」の名前の由来にもなっています。日本でも、作品が少年マガジンの表紙に使われたり、「ルネマグリットの男」という人形が大阪万博で展示されたりと人気を博しています。

山田先生の動画ではマグリットの意外な幼少期や作品の変遷の紹介もされています。ご興味のある方は是非ご覧になってください。

おはなし名画をよむまえに

おはなし名画をよむまえに(全5巻)」は小さなお子様向けの名画絵本シリーズです。サイズも小さめで名画を簡単な物語、セリフ、あるいは詩と一緒に楽しめます。

マグリットのはてな?」は保育園で美術教育をしている画家の「園児はマグリットの絵が大好き」という言葉をヒントに作りました。ご紹介した「大戦争」「大家族」を含む作品10点を簡単なセリフと共に楽しめます。

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