受胎告知のアレコレ(山田五郎先生のオトナの教養講座)
今回は受胎告知を掘り下げて解説している動画をご紹介します。
受胎告知とは聖書の中の「大天使ガブリエルに救い主を身籠ったことを告げられたマリアがそれを受け入れ、処女のまま救い主の母となった」という一連の出来事のことで、「挨拶」「困惑」「受胎告知」「説明と質問」「受容」の5つの場面に分けられます。
絵画では複数の場面が描かれることが多いです。ロレンツォ・ディ・クレディの作品では「挨拶」と「困惑」が、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品では「受胎告知」と「受容」が同時に描かれています。
5つの場面はどれも重要です。ガブリエルの挨拶「Ave Maria, gratia plena, Dominus tecum(こんにちは、マリア 多くの恵みに満ちた人 神はあなたと共にいます)」は「アヴェ・マリアの祈り」として知られていますし、運命を「神の御心のままに」と受け入れる「受容」はキリスト教の精神と同時にキリスト教を信仰する人たちの強さも示しています。
しかし、要諦は「受胎告知」そのものにあります。これは旧約聖書に書かれた神の預言(乙女が救い主となる男の子を身籠る)が実現したということであり、キリスト教はここから始まります。また神と人間を結ぶ存在としてのマリア信仰の原点でもあります。
この動画で初めて知ることや初見の作品もあり、興味深かったです。
例えば「ルカによる福音書」に書かれている受胎告知とは違い、「マタイによる福音書」の受胎告知はマリアの婚約者のヨセフに対して夢の中でで行われたそうです。
「ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアをあなたの妻として迎えなさい。その胎に宿っている子は聖霊によるのです。マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです。」
山田五郎先生が「こっちのほうが筋だと思う」と仰っているのを聞き思わず笑ってしまいました。「夢で告げられた」という点は仏教の「托胎霊夢」と同じです。
「マタイによる福音書」の受胎告知を描いたフィリップ・ド・シャンパーニュの「ヨセフの夢」も初めて見ました。美しい絵です。
ヘンリー・オサワ・タナー(フランスのサロンに入選した初めてのアフリカ系の画家、1859年生まれのアメリカ人)の作品も初見でした。ガブリエルを光のみで描いた印象的な作品です。マリアの困惑も表情から伝わってきます。
キリスト教絵画、特にルネッサンス期のものは知識があるとより楽しめることを実感しました。おはなし名画は美術の入門書としても最適です。楽しみながら教養も身に付けましょう!
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