名画で語るキリスト教(原罪と楽園追放)
旧約聖書の創世記に書かれている「現在と楽園追放」はキリスト教の大きな主題のひとつですので、沢山の絵画が描かれています。
ミケランジェロの天井画はルネッサンスを代表する作品の一つで、中央に「善悪を知る実(禁断の果実)」がなる木があり、左側に「原罪(女性の上半身を持つ蛇に禁断の果実を渡されているアダムとイブ)」が、右側に楽園追放「(天使に脅されて楽園から追いやられているアダムとイブ)」が描かれています。
この西洋の古典を東洋の古典で解釈することが出来ます。東洋思想に「陰陽論」があります。世の中のものは全て「陰」と「陽」で成り立っているという考え方です。陰は混沌、未知であり、創造や可能性を象徴しますが危険や破壊にも通じます。陽は秩序、既知であり、規律の象徴でもありますが、画一的な権威主義にも通じます。また、陰は女性性、陽は男性性の象徴でもあります。
「陰陽太極図」では黒が陰、白が陽を表しています。黒の中の白い点、白の中の黒い点は変容の可能性を表しています。「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」という言葉が示す通り、行き過ぎれば逆に転じるのです。陰と陽は片方だけでは存在しえず、絡み合って、あるいは混然一体となり存在していることを示す図でもあります。
「アダムとイブと失楽園」では、エデンの園が秩序(陽)、外界が混沌(陰)です。蛇は秩序に忍び込んだ混沌(図の黒い点)です。同様に外界(混沌)に追放されたアダムとイブは、いずれマリアとイエスにつながる秩序(図の白い点)です。秩序は崩壊し、混沌は新しい秩序を作り出します。
陰陽道は「中庸の道(秩序と混沌のバランス)を説きます。創世記でもアダムとイブは蛇にそそのかされた結果、エデンの園を追われますが、同時に善悪を知り、自意識に目覚めました。人類は原罪を負いますが、他の動物とは違う進化を遂げることが出来たのです。
片足を秩序に乗せながら、もう一つの足を混沌に踏み込むことが成長につながると解釈することも出来ます。東西の古典を読み返すことで、新しい気づきが生まれ、現在を生きる道が見つかるかもしれません。
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