聖母子で見るルネッサンス(山田五郎先生のオトナの教養講座)
この動画では分かっているようで意外と難しい「ルネッサンス絵画とは何か」というテーマを聖母子を題材に解説してくれています。
山田五郎先生はルネッサンス絵画を「古代ギリシャ・ローマ芸術の写実性とキリスト教絵画の融合」と定義しています。
本来、キリスト教では偶像崇拝は否定されているので、布教の手段として使われていた絵画の中のイエスやマリアは記号的に描かれていました。
それがルネッサンス期に「古代ギリシャ・ローマ芸術の写実性と融合」していく過程を聖母子を主題とした絵画で解説しています。
まずは下の二つの絵を見比べます。左の絵はマチーブエの「サンタ・トリニタの聖母(1290年頃)」です。右の絵は「ルネッサンスの窓を開いた」といわれるジョットの「荘厳の聖母(1310年頃)」です。僅か数十年の間に大きな変化があったことが見て取れます。
チマーブエはゴシック期のフィレンツェで活躍した画家です。この作品の中の聖母子は人間らしさや個性が抑えられています。
ビザンチン美術的なイコン絵画とされ、聖母が手を向けて、幼子イエスを指し示しています。
ジョットはチマーブエの弟子ですので、ビサンチン様式を継承しているものの、全体に立体感があり、聖母子に人間らしさが感じられます。
ルネッサンス幕開けの作品とも称される商品です。
次はジョットが幕を開いたルネッサンスが全盛期を迎えた時代の絵です。左はフィリッポ・リッヒの「聖母子と二人の天使(1450~1465年頃)」、右はミケランジェロの「聖家族(1506~7年頃)」です。
フィリッポ・リッヒのマリアは美人で、ミケランジェロのマリアは男っぽいですね。どちらのマリアにも個性が出てきました。
また、遠近法や色の濃淡による奥行きなどの技法が屈指されて、聖母子は更にリアルで人間らしくなります。聖母子の世俗化と言われることもあります。
まさに「古代ギリシャ・ローマ芸術の写実性とキリスト教絵画の融合」です。
動画ではルネッサンスの幕開け直前から全盛期まで、沢山の画家の作品を紹介しながら山田五郎先生が丁寧に解説されています。
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