音楽を描いた画家 パウル・クレーの「パルナッソスへ」(山田五郎先生のオトナの教養講座)

2025年1月18日から「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」(国内の三つの美術館を巡回します)が始まるに当たり、クレーをもう一度見直そうと思い、山田五郎先生のオトナの教養講座を視聴しました。山田先生の動画はいつも本当に面白いです。

クレーの代表作の一つ「パルナッソスへ」を中心に説明されていました。
この絵はパルナッソス山そのものを描いたものではありません。実際のパルナッソス山はリンク先をご覧いただけば分かる通り、綺麗な三角形ではなく、むしろ台形に近い形をしています。クレーにとって大切だったのは山の形ではなく、この山の持つ意味合いだったのでしょう。山の形は、動画の中でも言及されていましたが、この絵を描く3年前に旅したエジプトで感銘を受けたピラミッドの影響が大きいと思います。

パルナッソス山はギリシャ神話によると音楽や詩の神アポロンと9人の女神(ミューズ)たちが住んいるとされており、音楽を愛する人たちにとって神聖な場所でした。「パルナッソスへ」はラテン語では「Ad Parnassum」ですが、これは当時、音楽の教科書の名前として有名だったそうです。さすがは山田先生、博識です。

クレーがこの絵の題名を「パルナッソスへ(Ad Parnassum)」としたのは、この絵が音楽を描いたものだからです。山田先生は「絵画による交響曲」と表現されていました。
クレーは「芸術とは見えないものを見えるものにするものだ」あるいは「無から何かを作り出す過程こそが芸術だ」と考えていました。絵と同じように音楽を愛したクレーは音楽と絵画の共通点を見い出し、その創作の過程を絵画で表現しようとしたのです。

その理論はとても難解で、私のような凡人の理解を超えています。とは言え、クレーの絵を楽しむのに理屈は必要ありません。
あなたはこの絵から音楽を感じますか?

最後に、詩人の谷川俊太郎さんが「おはなし名画シリーズ クレー」の推薦文の中でクレーについて書かれた文章を紹介します。

「クレーの絵を見ていると、いつもふしぎな気持ちにおそわれます。描かれた絵の奥に、限りなく広く深い世界がひろがっているような感じ、それが何かをことばで言うことはむずかしいのですが、少なくともそれは私たちが肉眼で見るものとは違います。もしかするとクレーの絵を見るとき、私たちはクレーという人の心の奥をのぞきこんでいるのではないでしょうか。
そう考えるとクレーという画家が、どんな人間だったかということを知りたくなります。この 『おはなし名画シリーズ クレー』 は、かずかずの絵とともに、クレーの生涯とそのひととなりを、子どもにも分かりやすいことばで語ってくれます。クレーの絵とクレーという人の秘密が、それで解き明かされるわけではありませんが、この本はクレーの世界への、ひいては絵というもののもつ美しさへの、ひとつの入門書としての役割をはたしていると思います。」

おはなし名画シリーズ クレーでは名画とともに画家の生涯を辿ることができます。

クレー

音楽と絵と詩を愛したクレーの生涯と作品を大きくて綺麗な印刷で楽しめます。谷川俊太郎さんの詩も掲載されています。

本体価格 ¥3,200(税別)
B4変型判 64ページ
作品点数 42点

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黄色い鳥のいる風景(詩・谷川俊太郎)は小さなお子様を対象として制作したものですが、大人の方からも大変、好評をいただいています。

クレーの名画を谷川俊太郎さんの詩とともに楽しむ絵本画集です。

本体価格 ¥1,200(税別)
22ページ/24×26cm
作品点数 8点

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「おはなし名画をみるまえに」の「クレーと黄色い鳥のいる風景」

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