ドガもルノワールも人物を描いて物語を感じさせる画家です。本書ではふたりの生涯とその作品37点を綺麗な印刷で楽しめます。
(ルノワール)
「僕の絵を見る人に楽しい気分になって欲しい。」ルノワールがいつも言っていた言葉です。
モネと並ぶ印象派の巨匠と言われるルノワールですが、その作品は必ずしも印象主義的なものばかりではありません。若い頃はロココ絵画を好んで模写していましたし、晩年には印象主義を離れて古典主義に回帰したような作品も描いています。
どの絵を観ても幸せな気持ちになるのはルノワールの気持が伝わってくるからなのでしょう。
ルノワールの集大成とも言われる「ピアノに寄る娘たち」はほぼ同じ構図で5枚描かれています。特にオルセー美術館所蔵の作品(このサイトの画像のもの)とメトロポリタン美術館所蔵の作品(おはなし名画の「ルノワールとドガ」に掲載のもの)はそっくりで見分けが付かないほどです。暖かい色と光と愛に溢れたルノワールらしい傑作です。
※ルノワールの生涯をこちらにごく簡単にまとめています。よろしければご覧ください。
(ドガ)
ドガは印象派画家たちと活動を共にすることが多かったですが、自身はアトリエでデッサンを繰り返す伝統的な手法で作品を制作しました。ドガはまた、バレエの踊り子を好んで描いたことでも有名です。稽古をする踊り子たちの姿に心を打たれたのです。
「彼女たちはたった一度の舞台のために来る日も来る日も練習に励んでいる。画家もこうあるべきだ」
気難しくて怒りっぽいドガでしたが、作品からは自然や人に対する暖かい心も感じ取れます。例えば代表作のひとつ「エトワール」は真上から俯瞰した視点で描かれています。撮影用のカメラなどなかった当時としては珍しい視点だったでしょう。ルノワールと同じように、絵を観る人がどう感じるかを常に考えていたのです。
※ドガの生涯をこちらにごく簡単にまとめています。よろしければご覧ください。
画風も性格もまるで違う二人の人生と作品を是非、本書で堪能してください。
(ちょっとだけ中身の紹介)
人気画家となったルノワールの幸せな生活が描かれています。
絵は39歳のときに描いた「舟遊びをする人たちの昼食」です。左端に犬を抱いた将来の妻アリーヌの姿を見ることができます。
暖かな光のもとで楽しく談笑している人々の姿は印象主義的作品の「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」にも共通しますが、人物はよりしっかりと描かれており、この後、印象派から古典主義にに回帰していくルノワールの作風を予感させます。
若い頃、歴史画家を目指していたドガは、後に出会うマネやジャポニスムの影響で近代都市パリの「浮世」を描くようになります。
ドガは印象派の即興性を否定し、アトリエでデッサンを繰り返す伝統的な手法で作品を制作しました。自身は印象派と呼ばれるのを嫌い、自分達のグループ展を「印象派展」と呼ばれるのにも反発しました。左のページの「ダンス教室」は鏡に写った踊り子の姿やパリの町並みなどの細かいところまで丁寧に描き込んだドガらしい作品です。
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